※注意点
スギ花粉症治療であるスギ舌下免疫療法の開始のための薬剤が供給不足となっています
2025年7月に製造工場が新設され、秋ごろには流通が回復する見込みです
今の時点で治療を検討するメリット・デメリットについては次の記事でお伝えいたします
舌下免疫療法のご案内
~アレルギー性鼻炎の根本的治療を目指して~
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたすことのある慢性疾患です。これらの症状は、スギ花粉やダニといったアレルゲン(原因物質)に対する過剰な免疫反応によって生じます。
当院では、これらのアレルギー症状に対する根本的な治療方法として「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」を行っております。
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に取り込み、時間をかけて免疫を慣らしていくことで、アレルギー反応を起こしにくい体質を目指す治療法です。
本療法は、厚生労働省の承認を受けた保険適用の治療であり、これまでの対症療法とは異なり、自然の免疫構造を活かした治療のため、お子様にも使用可能な根本的な治癒または長期寛解が期待できる治療法です。
舌下免疫療法は指定認可を受けた医師のみが実施できる治療になります。
対象となるアレルゲン
現在、国内で承認されている舌下免疫療法薬は以下の2種類です。
- スギ花粉症に対する治療薬「シダキュア🄬」(開始時期:6月~11月)
- ダニアレルギー性鼻炎に対する治療薬「ミティキュア🄬」(通年開始可能)
※治療開始前には、血液検査等によりアレルギーの原因を明確にする必要があります。(当院にて検査可能です。)
治療の方法
- 1日1回、専用の錠剤を舌の下に1分間保持し、その後飲み込みます。
- 初回は院内で服用し、医師が副作用の有無を確認します。
- その後はご自宅での服用が基本となり、月に1回程度の通院で経過を確認します。
- 治療期間は3〜5年間以上の継続が推奨されています。
治療の効果
舌下免疫療法は、治療を開始してから数か月後から徐々に効果が見られ、年単位で継続することで最大の効果が得られると考えてられています。
症状が完全に抑えられない場合でも、
- 症状の軽減
- 薬の使用量の減少
- 花粉症の発症予防(特に小児において)
といった効果が期待されています。
副作用・注意点
- 口腔内のかゆみ、腫れ、違和感などの軽微な副作用は比較的よくみられますが、多くは自然に軽快します。
- まれにアナフィラキシーなどの重篤な副作用が起こる可能性があるため、初回投与は必ず医療機関内で行います。
- 決められた方法で、毎日欠かさず服用を続けることが非常に重要です。
対象年齢
- 小児(おおむね5歳以上)から成人まで
※年齢や体質により、医師が適否を判断いたします。
費用について(保険診療)
治療は保険適用です(3割負担の場合)
- 初診・検査費用:約3,000~5,000円
- 月々の薬剤・再診費用:約2,000~3,000円
※使用薬剤や検査内容によって前後する場合があります。
ご希望の方へ
当院では、医師が診察のうえ、アレルゲンの検査→ご説明→治療開始まで一貫して対応しております。
ご希望の方は、診察時に「舌下免疫療法について相談したい」とお申し出ください。
事前にご不明な点がございましたら、お気軽にお電話または受付にてお問い合わせください。
舌下免疫療法を受けられない方・慎重な対応が必要な方
舌下免疫療法は多くの患者様に安全に行える治療ですが、以下のような方には治療を行えない、または慎重な判断が必要となる場合があります。
■ 治療を受けられない方(禁忌)
- 過去にアレルゲン免疫療法で重篤な副作用(アナフィラキシーなど)を経験された方
- 重度の気管支喘息をお持ちの方で、発作がコントロールされていない場合
- 舌下に薬剤を保持できない方(例:著しい認知機能障害、重度の精神疾患など)
- 妊娠中または授乳中の方(原則として開始を控えます)
- 悪性腫瘍、自己免疫疾患、免疫抑制療法中の方
- ステロイド内服などで免疫抑制状態にある方
- 舌や口腔内に重度の炎症・潰瘍がある方
■ 慎重な対応が必要な方
- 5歳未満の小児(安全性が確立していないため)
- 高齢で自己管理が難しい方
- 他のアレルギー疾患(複数アレルゲンへの強い反応)がある方
- 喘息のある方(軽症でコントロール良好であれば可能な場合があります)
これらに該当する場合でも、主治医の判断のもと、治療が可能となるケースもあります。