※薬剤の供給状況については2025年6月現在の情報です。
スギ花粉やダニアレルギーの治療法として注目されている、舌下免疫療法の詳細については、前回の記事をご参照ください。
スギ花粉症の症状にお悩みの方にとって、スギ舌下免疫療法(シダキュア®)は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりといったアレルギー症状の軽減を目指せる治療のひとつです。
現在、この治療に使われる薬剤の供給状況に関するお知らせと、治療を検討する際の判断材料についてお伝えします。
現在の薬剤供給状況
スギ舌下免疫療法に用いられる「シダキュア®スギ花粉舌下錠 2,000JAU」は、現在、全国的に供給が不安定な状況が続いています。
これは従来の生産体制に対して2023年に前年比の2倍以上の新規処方が続いたことが原因となっているようです。
これは、製造元である鳥居薬品株式会社の発表によると、2025年7月に新しい製造工場が稼働開始される予定となっており、その後の品質確認などの工程を経て、10月ごろから徐々に出荷が再開される見込みです。
とはいえ、すぐに全国へ安定供給されるわけではなく、薬局への納入も段階的に進むことが予想されています。
当院での対応
当院では、スギ舌下免疫療法を新たに始めるための診察および処方は可能です。
ただし、供給状況の影響により、処方箋を発行しても、薬局で薬剤が手に入らない可能性があります。
このため、治療開始をご希望の患者さまには、薬局への在庫状況の事前確認や、複数の薬局へのお問合せをお願いする場合があります。
今、治療を始めることの「メリット」と「デメリット」
現在の状況下で、舌下免疫療法を始めるかどうかを判断する上での参考として、以下に一般的なメリットとデメリットを整理します。
メリット
- 来シーズン(2026年春)のスギ花粉に間に合う可能性がある
舌下免疫療法は、開始から効果が出るまでに数ヶ月〜1年ほどかかるとされており、
早めに開始することで、翌年の花粉シーズンに効果が期待できる場合があります。 - 検査や相談は早めに進められる
薬剤が手に入り次第、すぐに治療開始できるよう準備を整えておくことができます。
デメリット・注意点
- 効果の出方には個人差がある
体質や年齢によっては、治療を継続しても十分な効果が得られないこともあります。 - 薬局で薬剤が手に入らない可能性がある
当院で処方箋の発行は可能でも、実際の入手は患者さま自身で薬局とやりとりしていただく必要があります。 - 希望のタイミングで治療を開始できない可能性がある
薬の流通状況によっては、治療開始が遅れたり、今年度中に始められないケースもあります。
ご希望の方へ
治療を始めるかどうかは、生活のご予定や症状の重さ、通院のご都合などをふまえて個別に判断していただくことになります。
当院では、検査や初回診察を通して、患者さまの状況に応じたアドバイスを丁寧に行っております。
「迷っているけど気になる」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。